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公益財団法人 全国高等学校家庭科教育振興会 理事長
武 正  章

 日頃より公益財団法人全国高等学校家庭科教育振興会の事業に御支援・御協力を賜り感謝申し上げます。当振興会は、高等学校家庭科教育の振興に寄与することを目的に設立され、平成23年8月1日より公益財団法人として新たな歩みを進めております。
 今年度も高等学校家庭科教員の資質や指導力の向上や家庭科教育の充実・発展に繋がる事業を実施してまいります。

○技術検定充実のための取組
 文部科学省後援による家庭科技術検定・保育技術検定は、生徒に学習意欲や技術力だけでなく創造力や段取り力、コミュニケーション力など幅広い能力を身につけさせるものです。平成23年に全国高等学校家庭科教育振興会が内閣府より公益財団法人として認定され、格段の公平・公正性を確保する仕組みや検定内容の質の保証が求められております。家庭科技術検定・保育技術検定の振興と円滑な実施に向け、検定代表理事校の在り方や業務内容の整理などを含め、課題を洗い出し、検討するための「課題検討委員会」を、昨年度、設置いたしました。今後は、「課題検討委員会」を中心として、さまざまな視点からの意見や情報を聞きながら、規約の改正、組織等の整理、質の保証に向けた関係機関等との調整などに取り組んでまいります。
 技術検定の公平性・公正性の確保につきましては、まず、被服製作・食物調理と保育技術の各技術検定の事務処理及び評価等、一元化が進められております。このため、全国専門委員の先生方には全国各都道府県で実施される研修会等への参加、各都道府県の検定代表理事校の先生方には今までとは異なる事務処理や検定委員等の派遣など、大きな御負担をおかけしてまいりましたが、先生方の御尽力により、何とか平成32(2020)年度の完全一元化に向けて、順調に進められております。関係の皆様に感謝申し上げます。
 しかしながら、いくつかの課題も見えてきました。まず、技術検定の基礎となる4級受検者の減少が大きいことであります。平成元年のピーク時に比べ、被服製作は6分の1、食物調理は3分の1という状況であります。その要因につきましては、家庭部会の技術検定調査研究委員会におきましても、分析をしていただいておりますが、次のようことが要因とも感じられます。
 全国的に「家庭基礎」を履修させる学校が多いことが要因の一つと考えられる。具体的には、各学校における家庭科の総授業時数が減少することによって専任の家庭科教員が1名という状況になり、家庭科教員の多忙化が進み、技術検定にかかる指導に十分に取り組めないことや、技術検定の内容を「家庭基礎」の授業中に十分に指導できないことなどが、考えられる。振興会の技術検定本部委員会及び課題検討委員会において、検定内容と学習指導要領との整合性や効果的・効率的な指導法についても検討を進めていただくことになると思います。
 また、家庭科教員の資質向上についても、各都道府県の家庭科教育研究会との関係も考えながら、具体的な支援策を検討しなくてはなりません。ぜひ、建設的なご意見をお寄せいただきたいと思います。
 次に、保育技術検定におきましては、1級及び2級の受検者数が大きく減少しています。これは、保育技術検定が、技術検定一元化に伴い、1・2級の外部審査員による審査となったことが要因と考えられます。これは、外部審査の方法、審査基準、精度等について、御理解をいただくことによって、解消できるものと考えらます。しかしながら、これは技術検定の公平性・公正性を確保するためには、越えなければならないハードルであります。この審査制度が、技術検定の社会的評価高めるための取組にも通じると信じております。
 今後は、さらに各委員会等における分析や検討、技術検定監修に携わっていただいております大学の先生方や顧問等の先生方による専門的な見地からの御指導もいただきながら、技術検定の充実に努めてまいりたいと思います。ぜひ、御理解をお願いいたします。

○家庭科教育の意義の再確認
 家庭科教育は、少子高齢化、グローバル化、家族・家庭、消費生活、環境問題、生活文化の伝承など、現代の問題を鋭くとらえ、生活の質の向上を目指して、課題解決する力を育んでおります。また、学びの手法として、実験・実習、グループによる協議、発表、地域での交流活動、乳幼児や高齢者との触れあい、国際的な交流など、生徒に実体験させる、「主体的・対話的な学び」を多く取り入れております。さらに、その学びの手法を充実させていただけるよう、本振興会といたしましても、先生方の支援に取り組んでまいりたいと考えます。
 さて、皆様、御案内のとおり、今国会におきまして民法改正にかかる関連法案等が成立いたしました。家庭科教育において、消費者教育は前述のとおり大きな柱の一つであります。次期学習指導要領を見ますと、公民科の必履修科目である「公共」については、主権者教育と消費者教育は指導内容の大きな柱の一つとなっております。今後、解説等でその具体的な内容が示されることと思いますが、消費者教育については、総論的な内容を「公共」で学ばせ、各論的でより具体的な内容を共通教科「家庭」で学ぶことになるのではないかと予想されます。成年年齢を迎えた高校生が消費者トラブルに巻き込まれないように、被害に遭わないように指導するには、両科目がバランスよく適時・適切に履修されることが重要であると考えます。また、両科目を指導する教員が、連携を図り、指導内容に抜けや漏れがなく、生徒が身に付けるべき消費者の資質を確実に学ぶことができるように、取り組まなくてはならないと考えます。
 家庭科教育の意義を再確認し、「自立した生活者を育成する」という家庭科教育の大きな目標について、ご理解をお願いいたします。
 今年度も全国各地で、様々な大会が予定されております。7月に福井県で開催されます「全国高等学校家庭科実践研究会」は、福井県の有する歴史・風土・文化などを取り込んだ内容となっており、魅力あるアラカルト研修も用意されております。また、10月には大分県で全国高等学校長協会家庭部会主催の「秋季研究協議会」が、同じく10月には「保育技術教育研究大会」が山口県で開催されます。これらの協議会は、新しい知見の紹介や日々実践している教育活動について研究発表や協議がなされ、研鑽の機会として重要な役割を果たしております。校長先生方それぞれには、貴重な実践事例や研究協議や情報交換で得た知見を、各学校や都道府県の教育研究会等に持ち帰っていただき、それぞれの学校・学科の特色づくりや家庭科教育の充実・振興、学校経営などに役立てていただきたいと思います。また、本年度は、8月に愛知県で「家庭科技術検定研究大会」が、被服製作・食物調理の分野について開催されます。この大会を通じて、技術検定にかかる諸課題の整理と指導の工夫・改善に向けて、先生方の充実した研修がなされることを期待しています。
 さらに、本振興会主催ではありませんが、7月には東京都で「全国高等学校学校家庭クラブ研究発表大会」が、10月には山口県で「全国産業教育フェア」が開催されます。これらの大会は、全国の高校生が、地域社会の人と人をつなぎ、様々な課題に対応した取組をしている生徒の発表の場でもあります。多くの先生方に足をお運びいただき、家庭科教育の意義と実践について確認していただくとともに、高等学校教育の改革を見据えて新たな取組のヒントを得るための機会としていただきたいと思います。また、家庭科教員や学校が新たなネットワークを築き、学び合える機会としていただければ幸甚です。
 8月に4日間にわたり実施されます「産業・情報技術等指導者養成研修」は、家庭科教員の授業力、技術力などの向上につながる充実した内容であり、家庭科教員及び学校を結ぶ場であります。ぜひ、これを機会にお互いに支えあい、資質を高め合える場としていただきたく、多くの先生方の御参加を期待しております。これらの大会の運営に携わっていただいております各都道府県の主管校、関係の皆様の御尽力に敬意を表すると同時に深く感謝申し上げます。
 最後に、家庭科教育のより一層の振興・発展のために、今後とも本振興会に対する御理解を重ねてお願い申し上げます。

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